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House Cameo

ハウス・カメオ



均衡型ライフスタイルを支える現代の「曲り家」

建主は夫婦と子供2人の4人家族。驚くべきは同居人の多さで、40kgを超える陸ガメが2頭、比較的小さいカメが6匹、そのほかにヘビやカエル、イグアナ、トカゲなどの爬虫類と猫が1匹、加えて多くの昆虫の幼虫成虫がいて、さながら爬虫類園のミニチュア版のような生き物シェアハウスであった。

生き物たちと自由に暮らしたい、子供を自然豊かな環境で育てたい、仕事場に近接していて趣味のテニスにも没頭したい、複数の条件を満足する場所として半農村半都市のようなこの敷地に心惹かれたそうだ。人と生き物が離れつつ共に暮らせる「曲り家」を参照しつつ、設計はさながら陣取り合戦のようだった。まず大小の亀たちの居場所は住宅地側の最も陽当たりのよい南西角の前庭だ。開けて静かな農地側の、既存樹木を避けた北東側の角は人のための屋外テラスが占める。次に庭を切り欠いたくびれた平面に2つの矩形がずれて重なる別棟建てと捉え、下屋や庇が矩形から張り出し螺旋状に登る屋根の幾何学が入り組んだプランニングに秩序を与えている。爬虫類は寒さに弱く、熱環境を個別に制御できると都合がよいため、亀の庭に面する道路側の矩形を生き物と人間が共有する平屋建て、その対角の矩形に人間(と猫)が過不足なく暮らせる総二階とした。その結果ふたつの矩形が1本の対角線上で重なり、最長12.5mに及ぶ住宅としては逸脱したスケールを感じる立体的な視線の抜けが生まれた。

カメ-人、人+カメ-庭、都市-農村、平屋-二階、設計意図-施工論理などの連関を複層的に捉え、螺旋状の屋根や下屋という「建築言語」と、矩形のずれや重なりという「幾何学」によってそれらを均整させ、曲り家という「様式」を展開してさらに奥行のある空間を編み出すことを目指した。

完全な都市居住でも農村移住でもなく、別荘やウィークエンドハウスなどの時間的な仕分けによる解決でもない。そのどれにも当てはまるようなこの住宅のあり方は、子育て中で共働き、趣味も生活も将来も犠牲にせずに均衡を求める、きわめて現代的なライフスタイルの表出である。


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