内観_2Fより
外観1
外観2
内観_ダイニング
内観_柱
外観3
内観_柱梁とりあい
屋上テラス
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Steel House

スチールハウス



街と関係しあう住宅のつくり方

木の國・木曽を代表する新しい庁舎は「百年の先も続き、文化財となる建築としたい」という木曽町の強い思いがありました。私たちは「町の人々が自分たちのものとして感じられるような場」であることが、人の寿命を超える時間のヴォリュームを内包し、強く町のシンボルに繋がると考え、客観的に町の感覚を集約するために木曽に見られる建築様式や設い、人びとのふるまいから学びを得ることから始め、木曽に息づく意識を空間化することを目指しました。

この計画地には50%の建蔽率の制限があり、敷地の窮屈さを軽減するには、残りの空地を最大限利用することが必須である。そのため前面 道路側に駐車場やアプローチを含めた空地のまとまりを確保し、樹木を植えて隣家の前庭と連続させた。そして道路からの引きを利用して間口いっぱいの引き違いサッシを連ねた大きな窓を開けて、そこに家族や友人が集まれる明るく大 きなリビングを設けた。また壁で閉ざされた空間のつくり方ではなく、柱梁の軸組で構成することで窓や仕切りが好きなところに嵌め込める軽快でオープンなつくり方にした。さらに空の広がりや街の眺めを楽しめる屋上テラスを設け、そこにハンモックやテント、植栽用ネットが架けられるスチールフレームを用意し、街に生活の気配が 現れるようにした。

建物が完成すると、大きな窓から隣家の塀や緑、空などの光景が建物の内部へ入り込み、屋上テラスから周囲の屋 や道路が見 渡せるようになった。同時に住宅にいる人の活動の光景も外 へ現れるようになり、建物の部分が街の部分と なっているように感じられた。たとえば、晴れた日に屋上のテラスで食事をしていたら、街を歩いている人はおやっと思う。知り合いであれば声をかけるかもしれない。親しい仲であれば食事に誘われるかもしれない。住宅での活動が街に 現れることがきっかけとなって、人が出会ったり、コミュニケーションを取ったりする機会が生まれ る。現代の街や建物がそうした機会を奪っているならば、建築の方が可能性の幅を広げておく必要がある。そうすれば、住む人が街に対して、 開いたり、閉じたり、その中間だったり、その都度選択しながら住んでいくことができる。そうした多様な活動の集合が街に自然と現れていけ ば、街と建物が互いに響き合う関係的な空間に なると思う。


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