内観_2Fより
外観1
外観2
内観_ダイニング
内観_柱
外観3
内観_柱梁とりあい
屋上テラス
previous arrow
next arrow
内観_2Fより
外観1
外観2
内観_ダイニング
内観_柱
外観3
内観_柱梁とりあい
屋上テラス
previous arrow
next arrow

Steel House

スチールハウス



街と関係しあう住宅のつくり方

この計画地には50%の建蔽率の制限があり、敷地の窮屈さを軽減するには、残りの空地を最大限利用することが必須である。そのため前面道路側に駐車場やアプローチを含めた空地のまとまりを確保し、樹木を植えて隣家の前庭と連続させた。そして道路からの引きを利用して間口いっぱいの引き違いサッシを連ねた大きな窓を開けて、そこに家族や友人が集まれる明るく大きなリビングを設けた。また壁で閉ざされた空間のつくり方ではなく、柱梁の軸組で構成することで窓や仕切りが好きなところに嵌め込める軽快でオープンなつくり方にした。さらに空の広がりや街の眺めを楽しめる屋上テラスを設け、そこにハンモックやテント、植栽用ネットが架けられるスチールフレームを用意し、街に生活の気配が現れるようにした。

建物が完成すると、大きな窓から隣家の塀や緑、空などの光景が建物の内部へ入り込み、屋上テラスから周囲の屋根や道路が見渡せるようになった。同時に住宅にいる人の活動の光景も外へ現れるようになり、建物の部分が街の部分となっているように感じられた。たとえば、晴れた日に屋上のテラスで食事をしていたら、街を歩いている人はおやっと思う。知り合いであれば声をかけるかもしれない。親しい仲であれば食事に誘われるかもしれない。住宅での活動が街に現れることがきっかけとなって、人が出会ったり、コミュニケーションを取ったりする機会が生まれる。現代の街や建物がそうした機会を奪っているならば、建築の方が可能性の幅を広げておく必要がある。そうすれば、住む人が街に対して、開いたり、閉じたり、その中間だったり、その都度選択しながら住んでいくことができる。そうした多様な活動の集合が街に自然と現れていけば、街と建物が互いに響き合う関係的な空間になると思う。(能作文徳)


ページトップへ戻る