Steel House
スチールハウス
用途:専用住宅
構造・規模:鉄骨造 地上3階
家族構成:母、夫婦
所在地:東京都国立市
敷地面積:94.22㎡
延床面積:70.94㎡
竣工年月:2012年8月
設計:能作文徳建築設計事務所+千田友己
担当:能作文徳、千田友己
構造設計:オーノJAPAN
施工:工藤工務店
撮影:能作文徳建築設計事務所
Main use:Private Housing
Structure:Steel structure, 3 floor
Client:Mother, couple
Location:Kunitachi, Tokyo
Site area:94.22㎡
Total floor area:70.94㎡
Completion:August, 2012
Design:Fuminori Nousaku Architects, Yuki Chida
Architects:Fuminori Nousaku, Yuki Chida
Structure design:Ohno Japan
Construction:Kudo Koumuten
Photo:Fuminori Nousaku Architects
街と関係しあう住宅のつくり方
この計画地には50%の建蔽率の制限があり、敷地の窮屈さを軽減するには、残りの空地を最大限利用することが必須である。そのため前面道路側に駐車場やアプローチを含めた空地のまとまりを確保し、樹木を植えて隣家の前庭と連続させた。そして道路からの引きを利用して間口いっぱいの引き違いサッシを連ねた大きな窓を開けて、そこに家族や友人が集まれる明るく大きなリビングを設けた。また壁で閉ざされた空間のつくり方ではなく、柱梁の軸組で構成することで窓や仕切りが好きなところに嵌め込める軽快でオープンなつくり方にした。さらに空の広がりや街の眺めを楽しめる屋上テラスを設け、そこにハンモックやテント、植栽用ネットが架けられるスチールフレームを用意し、街に生活の気配が現れるようにした。
建物が完成すると、大きな窓から隣家の塀や緑、空などの光景が建物の内部へ入り込み、屋上テラスから周囲の屋根や道路が見渡せるようになった。同時に住宅にいる人の活動の光景も外へ現れるようになり、建物の部分が街の部分となっているように感じられた。たとえば、晴れた日に屋上のテラスで食事をしていたら、街を歩いている人はおやっと思う。知り合いであれば声をかけるかもしれない。親しい仲であれば食事に誘われるかもしれない。住宅での活動が街に現れることがきっかけとなって、人が出会ったり、コミュニケーションを取ったりする機会が生まれる。現代の街や建物がそうした機会を奪っているならば、建築の方が可能性の幅を広げておく必要がある。そうすれば、住む人が街に対して、開いたり、閉じたり、その中間だったり、その都度選択しながら住んでいくことができる。そうした多様な活動の集合が街に自然と現れていけば、街と建物が互いに響き合う関係的な空間になると思う。(能作文徳)